「唇に触れてないのに真っ赤になるんだ?」

クスクスと大河が笑う。私がその顔を背けようとすると、大河に両手で顔を包まれる。

「ダ〜メ。その顔、きちんと俺に見せて。か〜わいい!」

ほどよい低音が、触れられたところが、唇が、全てが熱い。久しぶりに触れ合うとこんなにも求めてしまうんだ。

「マカロン、おいしかったよ。甘いね。まるでお嬢様みたいに」

「私?」

「そう。男のことも、世間のこともあまり知らない可愛いお嬢様にそっくりだ」

「世間のことは認めるけど、男のことは知っているはずよ」

大河に何度もキスをしたり、迫ってきたりするのだから、何も知らないというわけではないと思う。私が強がってそう言うと、大河は「へえ……」と意地悪に言った。