彼氏としての大河は、執事の時には見せることのない大人の魅力や強引さを見せる。何より、ドSだ。

「ハアッ……。最近触れられてなかったからね。ていうか、キスだけでそんな顔するってもしかして、感じてる?誘ってるの?」

耳元で囁かれ、私の肩がびくりと震える。耳たぶに優しく口付けられ、口から甘い声が漏れた。

大河の言う通り、ここ最近はお父様の会社のパーティーなどで忙しかった。大河とはお嬢様と執事としての会話しかできなかったほど。こうしてキスするのも、ティータイムを楽しむのも、久しぶり。

「あとで構ってあげるから、今はティータイムを楽しませてちょうだい?今日のお茶菓子は大好きなマカロンだし……」

テーブルの上には、ピンクや黄色などの可愛らしい色と形をしたマカロンがたくさん置かれている。とても甘いけれど、私は甘すぎるくらいが好き。逆に苦いものは食べられない。

私が大河を見つめると、大河はニヤリと笑う。ドSスイッチが完全に発動した音だ。嫌な予感しかしない。