私は魔術部に入部した。
魔術を使わなければならないのだ。私は彼女を救うために……
____ きっと君の力になれるよ
脳内でその言葉が繰り返し響く。
カラの机の中に1冊だけ入れてある白魔術本にそっと触れた。
「おい、春野」
一瞬聞き流したが自分の苗字だという事に気が付き声の方を見た。
「……あ、私か。なんですか」
すると、パンッと頬に衝撃が走る。
静かに睨みつけると生活指導の教員がこちらを睨んでいた。
「お前校則をそうそうに破りやがって…明日までに黒に治してこい」
「あたし、地毛証明だしたはずなんだけど」
また頬に衝撃が走る。程度の低い教員だと呆れた。
「うるさいねぇ…黙れ低脳が」
そう言いスクバを引っつかみ教員の横をすり抜けていく。怒鳴り声が聞こえるがガン無視し、部室へ向かった____

「ふーん。まぁあの教師は経歴とプライドで生きてる人間だからね。無視した方がいいよ」
怜花センパイは魔草やらなんならを調合しながら言った。
「だってあいつ…むかつく…」
「ほら、カリカリすんなって。魔法の質が悪くなる」
私の前にフラスコが突き出される。
手、お椀型にしろ。と言われお椀型にするとそこに奇妙な色の液体が垂らされた。
「心を平常に保て。これは毒じゃないから。今の感情を手の平の上で爆破させるイメージをもて」
憎悪、怒り、悔しさ。
さっきまでの液体の感触が消え、コロンと転がっているような感覚が手の上にある。
見るととんぼ玉のような物が転がっていた。
「憎悪の薬の完成。協力してくれてありがとう」
何に使う気か知らないが憎悪の薬を取ると怜花センパイはガラスボールの中に入れた。
「おっといけない。この薬を作った後だから日光入れないと精神が壊れちゃうな」
そう言って窓を開けて

____カーテンを靡かせた。

「じゃあ、やるか」
怜花センパイは空を見ながら言う。
「何をですか?」
「君の願いを叶えるための魔法開発だ。…時間があんまりないみたいだから急ぐぞ」
ニヤリと笑って言う彼女の姿はまさに魔術師だった。