「今度こそ行こっか、ごめんね立ち止まって。あまり人に聞かれていいような話しじゃなかったから」
「だろうね。
暴走族なんて、悪いイメージしかないし」
「やっぱりそうだよね。これを話したら怖がられたり軽蔑されるのが目に見えてるから誰にも言わなかったけど…川上さんはやっぱり予想外の反応するね」
予想外の反応というか、昨日のことで大体は想像できていたのだ。
瀬野が何やら危ない人間だってことを。
「別に、なんとなくわかってたから」
「それでも俺を軽蔑しないの?」
「してほしいの?」
「軽蔑されて嬉しいことなんてないよね」
それならわざわざ聞かなくてもいいのに。
弱みを握られるなどといった、面倒くさいことにはなったけれど。
簡単に手を出してきた最低な野郎だけれど。
実際に助けてくれたのだ。
別に瀬野を軽蔑するほど悪く思っていない。
「じゃあ別にいいじゃない。
早く行くよ、みんなの登校時間と被る」
先に私が外に出て、瀬野もあとに続く。
外はやっぱり寒くて思わず身震いした。
「本当に川上さんはおかしな人だね」
「貶されてる?」
「良い意味で捉えてくれたら嬉しいな。
はいこれ、ヘルメット」
「また被らないといけないの?
髪、ボサボサになるんだけど」
「櫛ぐらい俺の家にもあるよ。
はい、被ろうね」
正直髪がボサボサになって欲しくなくて拒否したいところだけれど、それだとバイクに乗れない。
仕方なく、というより半ば無理矢理にかぶせられる。



