「知りたくないんじゃないの?」
「ここまできたら一緒でしょ」
逆に気になるって話。
中途半端に終わらされるのが一番嫌いだ。
「特にすごい人間でも危ない人間でもないよ」
「へぇ、あんな喧嘩強かったのに?
個人情報も簡単に入手したみたいだし」
「それが得意な仲間がいるだけで、俺の力じゃないよ」
「……仲間?」
仲間って言葉、何度も聞いた気がするけれど。
仲間ということはつまり…?
「族って知ってる?」
「族…?」
「暴走族っていう、バイクで夜の街を走り回って、喧嘩ばっかりしてそうなイメージの」
こんな話を玄関先でするのもどうかと思うけれど。
完全に足が止まった私たち。
じっと瀬野を見つめ返す。
暴走族…あまり聞き慣れない言葉ではあるけれど、なんとなく想像はできた。
「そこに瀬野がいるの?」
「そう」
「そんな危ない集団、本当にいるんだね」
「まあね、最近は特に喧嘩するわけでもなく冷戦状態だけど」
まるで暴走族の集団がいくつかあるような言い方だ。
危ない集団がいくつもあっていいものなのだろうか。



