愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「正義感が強いわけじゃないし、むしろ警察に目をつけられたくないからこっちで解決しようとするだけ」

「何言って…」

「川上愛佳、17歳。
両親は6年前に交通事故で他界」

「……っ!?」


目を見開いて、思わず固まる。
両親のことを瀬野にバレていたからだ。


「父親はその場で即死。母親は意識があり、病院に運ばれている間…何度も君の名前を呼んでいたみたいだね」


首を傾けて、私の反応をじっと見つめてくる。
背中に嫌な汗が伝うのがわかった。

どうしてそれを…どうして、そこまで?


『愛佳ちゃんのお母さんは、ずっと愛佳ちゃんの名前を呼んでたの。必死で』


あの時、心配の目を向けられて。
何度も声をかけてくれた看護師さんを思い出す。

あの人が瀬野に話したの…?