「あっ、今日もラブラブ登校だ!」
「喧嘩するほど仲がいいってこのことだな」


そして学校に着くと、すぐさま沙彩と真田に突っ込まれてしまう。


「別に、仲が良いってわけじゃないから…」
「そんなすぐに否定しないでよ、川上さん」

「うるさい…!
いいからこの手を離せ!」


いつまで手を繋いだままでいるつもりだ、瀬野は。
ハッキリと拒絶するけれど、彼は楽しそうにニコニコと笑っているだけ。


「それにしても本当に川上さん、変わったよなぁ」

「変わったんじゃなくて、これが本当の愛佳なんだよ。私は自然体でいられる今の愛佳の方がいいかな」


───そう、私はもう自分を偽るのをやめた。

今更だと思っていたけれど、このまま自分を作ったまま沙彩と接することに対してモヤモヤしたからだ。


多分、ここまで心配してくれた沙彩を騙しているみたいで嫌だったのだ。


もう別に、好感度なんていらない。
人気者になる必要もない。

私は私らしくいると決めた。


けれど瀬野がいるせいで、どうしても口が悪くなってしまう。


沙彩は最初こそ驚いていたけれど、すぐに受け入れてくれて。

この性格に少し距離をあけられる人たちもいる中で、沙彩は決して態度を変えてくることはなかった。



「川上さんはね、見ての通り本当に素直じゃないんだ。でもたまに素直になった時はもうすごくかわいくて…」

「いや、涼介もだいぶ変わったぞ?とにかく周りが見えないくらい川上さんにゾッコンで、さすがの俺も少し引くな」

「でもかわいい川上さんがズルイと思わない?
今日も朝から…」

「あー!それ以上は言わないで!」


慌てて止めに入る。
瀬野は私が恥ずかしいと思うことしか言わない。

けれど私が必死に止めた結果、余計にふたりが知りたがってしまう。