「せ、瀬野く…そこは」
「大丈夫。すぐ帰るから」
迷わず中に入る瀬野。
そこは裏通りに位置するホテルだった。
それも男女の営みが目的である“ラブホテル”というもので。
慣れた手つきで操作して、簡単に部屋を取れたようだ。
これはやばいのでは。
そう思う反面、優しく支えられている瀬野の手つきに安心する自分もいた。
「ほら、座って」
ムードある明かりがつく中、部屋自体は普通のホテルに負けず劣らず綺麗な内装だった。
まずは部屋にあるソファに誘導され、座らされる。
「助けるの遅くなってごめんね」
一度私の頭にポンと手を置いて。
それから手が下へとおりていき、頬を撫でられる。
ひどく優しい手つきだった。
「ううん…助けてくれてありがとう。
瀬野くんがいてくれて良かった」
泣きそうになる“フリ”をしながら、ここに連れてこられた意味を考える。



