「……それでも許せないよ。
キスマーク、つけられてさ」

「…っ」


瀬野の指が私の首筋をなぞる。
ピクッと肩が跳ねて反応してしまった。


「もしかして、敏感になった?抱かれてなくても何をされたの?正直に言わないと、恥ずかしいことたくさんするよ」


「……怒らない?」
「怒って川上さんをめちゃくちゃにするかも」

「それなら良い」


いっそのこと、剛毅さんを忘れるくらいにして欲しい。

頭を瀬野でいっぱいにして、染められたい。



「やけに素直だね」
「瀬野じゃないと嫌」

「そんなかわいく言っても許さないからね」
「うん、許さないで」


簡単に許されても罪の意識は早々消えないだろう。



「それじゃあ川上さんの口から何をされたのか吐かせて、俺が同じようにして上書きしようか」

「…っ」


それは少し…いや、かなり恥ずかしいかもしれない。

いくら抱かれていないからとはいえ、剛毅さんとはキスだけの関係でもなかったのだ。




それに私は瀬野のことを忘れたいと思い、それを受け入れていた。


「もちろんキスはされたよね?」

「さ、されたけど…剛毅さんなんかより瀬野の方が…んっ」


素直に答えたはずなのに、なぜか瀬野に唇を塞がれる。

それも深いキスだった。


「もうその男を名前で呼ぶのはやめてくれるかな。川上さんがその名前を口にするたび、嫉妬でおかしくなりそうなんだよ」

「…っ、うん」


嬉しい、本当に。
久しぶりのキスは甘くて仕方がなかった。


「あれ、またキスで頬が赤く染まってる」


だって恥ずかしい。
ドキドキする。

離れてた分、今の時間が言葉にできないほど幸せで。