「どうって、君はもう終わりだよ。
見たらわかるよね?」
その声に怯まずに話すのはもちろん瀬野で。
怪我を負いながらも、笑う余裕があるようだ。
「この状況はあり得ないはずだ。
他の仲間は…」
剛毅さんがそこまで言いかけた時、ようやく目を見開いた。
「まさか…」
「そのまさかだ。悪いな、裏切って」
私も状況が理解できない中、新しく聞こえてきた声に視線を向ける。
そこには雷霆の総長が、剛毅さんに笑みを浮かべて立っていた。
もしかして、雷霆が仁蘭の味方をした?
「俺も最初は統一なんて生温いことを言う仁蘭より、勝利に貪欲な煌凰の方が良いと思っていた。
だが実際にどうだ?煌凰の手下は全員、総長に怯えている。副総長を含めた幹部すらも逆らえない。
まさに独裁者だ。だから俺は驚いた、仁蘭のアジトに行った時。手下全員が瀬野や幹部を慕い、尊敬の眼差しを向けていた。温かい場所も悪くねぇってな」
仁蘭に味方をした経緯を話す雷霆の総長。
確かにその通りだ。
煌凰のアジトは異様な空気が漂っていて、仁蘭と比べ物にはならない恐怖がいつも心にあった。



