「一度見てみたかったんだ。
瀬野、お前が俺の前で伏しているところをな」
嘲笑う剛毅さん。
本当に嫌な笑い声だ。
剛毅さんを睨むけれど、彼は決してその嬉しそうな表情を崩さない。
「どうだ?俺の手にかかれば瀬野もああなる。
弱い男より強い男の方がいいだろう?」
「……あんたみたいな最低な男は選びたくない」
「ハッ、まだそんなこと言うか。でも今、はっきりと瀬野を突き放した方がいいと思わないか?
精神的に追い詰めて、瀬野の口から降参と言わせるんだ。その時点でこの闘いは終わりだ」
本当に最低だ。
まだ瀬野を追い詰めるというのか。
それでもここで剛毅さんの言う通りにしないお、仁蘭の怪我人は増える一方だ。
それを瀬野は望まないだろう。
だったら私は───
ゆっくりと立ち上がって、瀬野に近づく。
ごめん、何もできなくて。
心の中で彼に謝る。
私にできることはこれしかないのだ。
圧倒的に煌凰が有利な中で、降参するしか道はない。



