「これで終わりだ、瀬野。大人しく降参しろ。そうじゃねぇと怪我人は増える一方だ」
「本当に君は汚いやり方をするね」
「……まだ無駄口を叩く余裕がある見てぇだな?」
瀬野の言葉に、その様子に。
腹が立った剛毅さんは、瀬野を捕らえた手下に命令をした。
「おい、瀬野を黙らせろ」
「……っ!?」
一体何をするのかと思いきや、手下は近くの壁に置かれた鉄パイプを手にした。
その時点で叫びたくなったけれど、剛毅さんが私に耳打ちをした。
「大人しくしろ。
これ以上怪我人を増やしたくなかったらな」
それは脅しだった。
私が下手に動けば、仁蘭のみんながさらに怪我を負わされてしまう。
そんなの耐えられない。
そして手下の男はそれを振りかざした。
咄嗟に目を閉じて顔を背けた私。
その後すぐに、思わず耳を塞ぎたくなるような鈍い音が響いた。
「涼介さん!」
「総長!」
なんて、仁蘭のメンバーが瀬野を呼んだ。
恐る恐る顔を上げると───
「……っ」
咄嗟に立ちあがりそうになった。
その気持ちを抑え、気持ちを鎮めようと心がける。
瀬野は地面に倒れ込んでいた。
衝撃が強かったのだろう、すぐには体を起こせないようで。



