愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜





自分は何もしないのだろうか。
ソファに座って寛いでいる。

このまま何事も起こらないことを願ったけれど、ついに仁蘭が動き出して───


「剛毅さん!仁蘭が来ました!
4つのグループに分かれてるみたいです!」

手下の声が大きく響いた。
やっぱり莉乃ちゃんの裏切りは事実だったのだ。

これも作戦のうちではないかという希望すらも砕かれてしまう。


「……そうか。
作戦通り、最初は囮を前に出せ」

それにしても剛毅さんは無情な人だ。
仲間を平気で囮に出し、怪我を負わせるつもりだろう。


「本当に瀬野は馬鹿だな。
最後まで裏切られていることに気付いていない」

瀬野を嘲笑う様子の剛毅さん。
悔しくて、思わず自分の手をギュッと強く握った。