「つまり君も俺たちの玩具になることを所望かなぁ?」
「……っ」
急いで相手に背中を向け、その場を立ち去ろうと走ったけれど。
ネオン街の、さらに裏通りの地形なんて全く知らない私は簡単に行き止まりまで追い詰められてしまう。
「あれ、もう終わり?」
「つまんねー鬼ごっこだったな」
嫌な笑み。
このまま私はこいつらに捕まって、好き勝手されてしまうのだろうか。
けれど不思議だ。
恐怖なんてない。
これは諦めだろうか。
それとも───
「楽しそうなことしてますね、お兄さんたち」
「……あ?なんだてめ…ぐっ!?」
それはほんの一瞬の出来事だった。
突然男の後ろから穏やかな声が聞こえてきたかと思えば。
男が振り向くのとほぼ同時に、鳩尾に蹴りを入れられているのをこの目で確認できた。
「な、なんだお前は!?」
あっという間にその場に崩れ落ちた男の後ろから姿を現したのは───
「……瀬野」
瀬野涼介の姿だった。
穏やかな表情である瀬野の方が、私の恐怖心を駆り立てる。
「三田朝春、29歳。表向きは普通の会社員、だけど裏では未成年の女に…違法なこと、させてるよね?」
「おま…な、んで…なまえ」
その場に倒れ込む男の顔を見て薄笑いを浮かべた。
なんとも言い難い恐怖が、私を含め3人に襲いかかる。



