愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「なーやっぱりホテルにしねぇ?」
「俺もそろそろ興奮してやべーから同意」

「…っ、やっ」


急遽行き先を変更したらしく、無理矢理腕を引っ張られる。

人が集まるネオン街の大通りから少し離れた、裏通りに連れ込まれてしまう。


明らかにアブナイ雰囲気がそこには漂っていた。


「おねーさん、今日も来てくれたんだ」
「もちろんよ!」

なんて、男女の嫌なやり取りが繰り広げられている中で。
ついに私は痺れを切らした。


「…っ、やめてください!」


ようやく腕を振り払う。

今まで抵抗していなかったためか、すぐにその手は振り払えた。


「……おい、君。
そんな強く払ったら痛いじゃん」

「勝手に連れ込んできた分際で痛いとか言わないでください」


負けじと睨み返す。
本当は敬語すら使いたくない。


「へぇ、俺たちに逆らうとどうなるか教えてやろうか?」

「今までもそーやって抵抗してきた奴らは、恥ずかしい写真撮られて俺たちに脅されて。今も俺たちの玩具だよ」


耳に障る笑い声。

過去にもこうやって連れ込むことに成功していたから、学生である私すらも捕まえたのか。


その瞳は自信に満ち溢れている。