愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




倒れた私を嘲笑ってもおかしくないというのに。
そんなことされたら私───



「……沙彩?」

その時、保健室のドアが開けられる音がした。
沙彩だと思い声をかけてみたけれど、返事がない。


保健室の先生が去り際、カーテンを閉めてくれたため、その姿を確認できない。

もしかして先生に用があった他の生徒だろうか。


ここは大人しくしておこうと思ったけれど───


「……えっ」

突然カーテンが揺れ、さらには開けられてしまった。
沙彩だと声をかけるだろうと思い、咄嗟に身構える。


一体誰が。
視界にその姿を捉えた時、頭が真っ白になった。

目を見張り、言葉を失ってしまう。


「起きたみたいだね」


その相手は、私をここまで運んできてくれたという瀬野だった。

間違いない、瀬野本人だ。


途端に胸が締め付けられるような感覚に陥る。
息が苦しい。