愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「じゃあ私が取ってる来るから待っててね!」
「え、そんな…私も」

「愛佳は絶対安静だからね!」


沙彩はそう言って、保健室を後にした。
その様子を見て笑ったのは先生だった。


「いい友達を持ったわね」
「……はい」


釣られて私も笑った。
本当に沙彩がいてくれて良かった。


沙彩なら、本当の自分を見せても受け入れてくれそうだ。

今はそれどころではないけれど。


「じゃあ私は職員室に用があるから、少しの間あの子に任せるわね。5限目が始まる前には戻って来るわ」

「あ、はい…わかりました」
「ゆっくり休むのよ」


先生は資料の入ったファイルを手に持ち、保健室を後にしてしまった。

ひとりにされたのは心細いけれど、上体を起こして沙彩を待つ。



その間、先程の沙彩の言葉が脳内再生されて。
本当に瀬野が私をここまで運んでくれた?

もし本当なら、瀬野のことがわからなくなる。
もう私のことは放っておけと言ってたくせに。