愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




そして何より甘い。

とびきり甘くて、いつも溶かされてしまうんじゃないかって心配になるほど。


甘い甘いその時間に、私はいつも酔いしれていた。



「きっと剛毅さんも私を大切にしてくれる。すぐキスマークつけたがるし、独占欲は強いかもしれないけど」

「……嘘、だよね?」


その時初めて瀬野に乱れが生じた。
やはり勘違いを想起させるこの“痕”に、私の言葉。

どうかこのまま信じて、そして最低だと貶して。



「ごめんね、瀬野。
自分の気持ちに正直にならせて」

「今ならまだ間に合うから、全部俺に話して。
お願いだから嘘を重ねないで川上さん」

「…っ」


思わず耳を塞ぎたくなった。
これ以上はもう限界で。

まっすぐ瀬野に見つめられ、気づけば頬には涙が伝っていた。


「……川上さん、どうして泣いているの?」
「違うの、これは…」

「大丈夫、怖くないよ。
ゆっくりで良いから俺に…」

「───怖いの」


それは最後に考えついた“嘘”。
より現実的で、そして苦しい嘘だった。