愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「あんた、しつこそうだからね。眠らせてる間に準備して、離れた方がすぐに終わると思って」

「……ふはっ」


突然の笑いに、ビクッと肩が跳ねた。
冷たく乾いた声に恐怖心が駆り立てられる。

強気の口調でも、体は嘘がつけない。
先ほどから指先の震えが止まらないのだ。


「本当に川上さんは偽るのが上手だね。
少しもボロを見せない」


ゆっくりと距離を開け、私を見下ろした瀬野は笑っていた。

何ともおかしそうに。



「でも俺はね、全部わかってるんだよ川上さん。
煌凰の総長に脅されたんだよね?

そうだな…例えば『自分の元に来ないと脅しの材料にされるだけだ』とか、俺にとって川上さんの存在は『負担になる』とかでも言われたんだろうね」


私の頬に触れる手は、いつもより冷たい気がした。

どうして。
どうして瀬野は、簡単に当ててしまうの?


図星だったため、一瞬言葉を失ってしまったけれど。
立て直そうと思い、必死で考えを巡らせる。