愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「とにかく無事で良かった」

温かみを感じられない声だった。
まるでオマケのように、後から付け加えたような言葉だった。


それだけ言い残して、瀬野は私の元から離れていった。


「やっぱり瀬野は愛佳を心配してただけなんだ。
いつも通りに戻って良かった」


ニコニコ笑う沙彩。

そしてクラスメイトも安心したようで、早速男子たちは瀬野に話しかけていた。


瀬野は冷たく追っ払うことなく、優しい笑顔を浮かべていた。


その切り替えの早さが怖かった。


正直、昼休みに会いに行かず逃げ出したいと思ったけれど。

はっきり別れを伝えないと、綺麗に終われないと思った。


昼休みが近づくにつれ、高まる緊張感。
緊張のあまり胃が痛くなりそうだ。

昼休みということでご飯を食べないといけないけれど、食事は喉を通りそうにない。



本気で時間が止まって欲しいと思う中、ついに昼休みになってしまった。

けれど私はいつもの場所に行く前に、担任の先生に呼び出されてしまい、先に職員室へと向かう。


一週間も休んでしまったことについて話をしたけれど、普段から真面目ということもあってか適当についた嘘も信じてくれた。

意外とすぐに帰されたところで、ようやく相談室へと向かう。