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そしてついに、次の日の朝がやってきた。
久しぶりの制服は、なんだか新鮮だった。
同時に気が重くなったけれど、仕方がない。
自分が選んだ道である。
「車、出しとくから」
剛毅さんは少し前に家を出た。
私もそろそろ出ないと時間だ。
洗面所の鏡の前に立つ。
首筋につけられた“痕”は髪で隠すようにした。
彼は保険と言っていたけれど、これがどう活用されるかはわからない。
ただ、瀬野を見ても心が揺らがぬようにと決心する。
家を出ると彼が車を用意して待っていた。
これまでは族の一員に運転を任せていた彼が、今日は運転席に座っていた。
「珍しい、運転できたんだ」
「彼女の送り迎えをする、理想の彼氏だろ?」
「彼氏面しないで」
「ハハッ、相変わらず厳しい女だ」
私が何を言おうと彼は余裕の表情で返してくる。
もっと短気かと思っていたけれど、この一週間暴力すら受けたことはない。
自分が一番で在り続けることに邪魔をするもの以外は、手を下さないのだろうか。
けれど彼は、とことん自分中心の男だ。
これからますます欲深くなっていけば、この世界に関係のない人たちにまで危害を加えるようになるかもしれない。



