瀬野は今日の私を見て、不自然に思わなかっただろうか。
もし大丈夫だったとしても、騙しているようで嫌だ。
「……っ」
無意識のうちに指先が震える。
こんなこと、本当はしたくないけれど。
ゆっくりと目を閉じて、心を落ち着かせる。
「……よし」
きっとこの選択が間違いでなかったという日がやってくる。
その日までの我慢だ。
私が原因で、瀬野に無駄な傷を負わせたくない。
不審に思われないためにも、ココア作りを始めた。
意外とすぐに完成したそれを持って部屋に戻る。
これを飲んだらすぐに眠くなるのだろうか。
睡眠薬の効果を知らないため、瀬野が眠るまでは下手に動けない。



