愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「きっと病気になったのは天罰かなって。だから私は自分のために治療費を使いたくないって思ったの。

こんな自分に使うくらいなら、涼介の将来に少しでも役立てて欲しいって。そのために貯めていたものだったから」


最初は穏やかな表情で。
けれどついに、彼女の涙が頬を伝う。


「多分、あなたも知っていると思うけれど、私は何も悪くない涼介に暴力を振るっていた。

本気で好きだった男性(ひと)に裏切られて、捨てられて。現実逃避しようとたくさんの男と関係を持った。

けれど涼介を見るとやっぱり辛くて耐えきれなくて…ダメだって思っていても無理だった。だから私はなるべく涼介に会わないようにした。けれど結局それも、一種の暴力に過ぎなかったけれど…」


こんな最低な自分は生きている価値などない。
本当は早く死ぬべきだったと彼女は涙ながらに語った。


「本当に、それでいいんですか…?」
「え…」

「瀬野くんは今もあなたから受けた暴力が忘れられず、怯えています。ずっと過去に囚われたままです。

この間のことも、彼はあなたに捨てられたんだと思っています。最後の最後まで瀬野くんを苦しめてから、あなたは死ぬんですか…?」


そんなの私だって許せない。
良かれと思ってやっていることが、瀬野を傷つけている。