愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「どうしで瀬野くんに誤解されるようなことをしたんですか?」


謝罪の言葉と、それから大金の入った通帳。
捨てられた代償だと勘違いしてもおかしくない。

事実、瀬野はそう捉えて精神が乱れてしまったのだ。


「え…」

「瀬野くんは、他の男の人か父親のもとに行ったんだと思ってますよ」

「…っ!?」


私の言葉をようやく理解した彼女は目を大きく見開いた。

その瞳が徐々に潤んでいくのがわかる。


「このままで良いんですか?
瀬野くんに誤解されたままで…」

「いいの。私がそれを望んだから」


けれど彼女は笑った。

泣きそうになるのを必死で堪え、無理矢理浮かべた笑みだった。


私までもがその笑みを目にして、胸が張り裂けそうになる。


「とことん嫌われて、憎まれた方がいい」
「……どうしてそんな…」

「実はね、私そう長くないの」
「え…」


彼女の口から衝撃的な言葉を告げられた。

いや、正直予想していた自分もいたけれど。
いざ口にされた時、私はただただ驚くことしかできなかった。