愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜







静かな車内。
目的地まで、風雅さんとふたりで目指す。

その間、どちらとも口を開くことはなかった。


翼くんに告げられた場所。
それは───


病院と病室の番号だった。


翼くんはそれ以上何も言わなかったけれど、大体の予想はついた。


「……涼介は本当に何も知らねぇんだな」
「多分、そうだと思います」


彼の母親が【ごめんなさい】という謝罪しか残していないのだ。

翼くんに頼まなければ、きっと何もわからないままだっただろう。


気づけば外は暗くなっていた。
もしかしたら、瀬野はもうすぐ家に帰る頃かもしれない。

それでも私は病院に行ってから家に帰りたかった。


「じゃあ俺はここにいるから」
「えっ…風雅さんは行かないんですか?」


目的地である病院へと着き、車が病院の駐車場に停められる。

けれど風雅さんは降りようとしない。


「俺は何もしてねぇからな。それに川上さんが動いてようやく居場所を掴めたんだ、最後まで俺が入る必要はねぇだろ」


終わるまでここで待っていると告げられ、私は素直に頷きお礼を言った。

そして病院の中へと入る。
目指すは瀬野の母親がいる病室だ。