「光希が落ち込む必要ねぇよ。
涼介は弱さを見せたくなかっただけだ」
落ち込む光希くんに声をかけたのは風雅さんだったけれど。
「でも風雅くんも翼くんも知ってたんでしょ…?
もしかして、ひーくんも!?」
「……ああ」
瀬野の事情を知っている人たちもいるわけで、さらに落ち込んでしまう光希くん。
「そんな…僕、信用されてないのかな」
「そういうことじゃないよ、光希くん。
あいつはただの強がりなだけだから」
「本当は涼ちゃん、弱いの…?」
「弱いっていうか…まだまだ未完全な部分も多いってことだよ」
強いだけじゃないのが瀬野。
特に今は弱さが目立っている。
それから、どれほどの時間が経っただろうか。
いつの間にか地下室には静かな空気が流れていた。
刻一刻と今日のタイムリミットが過ぎる中、ようやく奥の部屋の扉が開けられる音がした。
全員がそのに視線を向ける。
「───わかったよ、居場所」
そこから姿を現したのは、もちろん翼くんで。
珍しく、彼の声が地下室に響いた。
「…今、どこにいるの?」
瀬野のお母さんの居場所は───
翼くんに尋ねると、彼は一度黙った。
かと思えばゆっくりと口を開く。
「───えっ…」
そして翼くんの口から伝えられる場所を聞いた時、少なからずその謎が解けた気がした。



