愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




そして───


「それでも僕は聞かないよ。もし本気で頼みたいなら、瀬野くんの理解を得てから一緒に来て。

多分、瀬野くんに内緒で動いているんだよね?」


もう一度、ハッキリと拒否されてしまう。
それだとダメなのだ。

瀬野はきっと嫌だと言うだろうし、母親の真意を先に確かめないと。


それでもし本当に自分の捨てた父親の元へ行っていたり、他の男に逃げていたのなら、瀬野はもっと傷ついてしまうかもしれない。

私だって瀬野の母親を許せなくなるだろう。


これ以上瀬野を傷つかせないためにも、私は先に彼の母親と接触しておきたい。



「“瀬野”に言わないといけないの?あんたたちだって、私の個人情報を勝手に調べ上げたくせに」

「……え」


下からお願いするのはもうやめた。

私だって被害者であるのだから、意地でも頼みを聞いてもらわないと気が済まない。


「私はあんたに個人情報を調べられて、瀬野に脅されなければ今も平穏な毎日を送れていたの。でも結局巻き込まれてここにいる。

別に今はあんたのことを恨んでないけど、冗談でも感謝なんてできない。仮にも私の情報を勝手に取得してきたんだから。

なら私を巻き込んだ身として最後まで責任取りなさいよ」


瀬野と関わったおかげで今の私がいる。
彼に救われたのもまた確かで。

どんどん瀬野の存在が大きくなっていくのがわかる。