愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




最初、門番をしていた人には驚いた顔をされた。
瀬野ではなく風雅さんとふたりで来たからだろう。

地下室の中に案内された私たちを見て、何やら誤解を抱いた人も多い様子。


けれど───


「あー!愛佳ちゃんだ!」

まるで待ってましたかというように、光希くんが私に抱きついてきた。

どうやら彼にまで私たちが来るという情報が回っていたらしい。


「また涼ちゃんは莉乃ちゃんのところ?」
「あ、うん…」

「もー!本当に許せない!」


まだ莉乃ちゃんに対して怒っている様子の光希くんは、きっとふたりの関係性を教えられていないのだろう。

ふたりは兄妹関係にあるため、恋仲になることは確かにありえない。


それであの自信だったのか。
翼くんも風雅さんも。


「今日は翼くんに会いにきたんだよね?」
「あっ、うん…」

「今日はたまたまみんな来てるんだ!
ひーくんもいるから、また触れちゃう!?」

「こら、光希。余計なことをするなよ」


また悪い考えを浮かべて楽しそうに笑う光希くんを、風雅さんが呆れたように止める。

少し不服そうだったけれど、光希くんはそれに了承した。