「それでも最初は大変だったな。
涼介、全く自分を見せないから。
優等生らしくニコニコ笑って、一切感情を読ませようとしない。初めはみんな恐れてたけど、俺たちは悪党の集まりじゃない。
逃げ場のような場所でもあったから、何かしら事情を抱えてる奴らも多くてな。涼介も仲間と話していくうちに打ち解けていったみたいで、その時ようやく俺に話してくれた」
今思えば大変だったと続けて、ため息を吐く風雅さん。
けれどその表情はどこか嬉しそうである。
「自分が暴力を受けてた側で苦しめられてきたから、それを無くしたいって思ったらしい。その目は本気だった。
ただ同じ暴力だけで押さえつけてたら、母親とやってることが同じだって言った。そしたら涼介、ハッとしたような顔して。その時ようやくわかったらしい。自分のしたことが間違いだったって」
風雅さんに気づかせてくれたおかげで、今の瀬野がいる。
瀬野自身も統一という目的を掲げ、この世界を安定させようとしていた。
ただ───
「それでもまだ今の涼介は荒削りで、未完成な部分も多いけどな。川上さんと出会えたことでだいぶ変わったけど、これを乗り越えたらもっと変われるかもな」
風雅さんの言う通りだ。
まだ足りていない部分も多い。
今の瀬野はあまりにも不安定すぎる。
それからしばらくして、車がアジト近くのいつもの場所へと到着する。
車から降り、風雅さんと並んで地下室を目指した。



