愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「涼介の事情を知っているのは俺と翼、それから響。
あとは川上さんだけだ」

「……光希くんたちも知らないんですか?」

「ああ。涼介は極力弱さを見せたくないんだ。
だから翼や響にも平気なフリをしてる」


知らなかった。

てっきり幹部のみんな、瀬野の事情を知っているだろうと思っていた。


確かに莉乃ちゃんと瀬野の関係性を、光希くんと悠真くんは知らない様子だった。


「私の前では弱さ全開ですけどね」

「ははっ、逆に見てみてぇかも。
それだけ心許してるんだなぁ、川上さんに」


心、許す…それは悪くないかもしれない。


少し面倒だけれど。
最近の瀬野はだいぶ面倒だけれど。

というより、瀬野はいつも面倒だ。
私を乱すことばかりして、調子を狂わせてくるから。


「涼介は初め、なかなかの問題児だったんだ」
「……問題児」

「不良とか非行に走る奴らを見かけては、自らの力でねじ伏せてたんだ」

「ねじ伏せる…?」
「暴力で」


ゾクッとした。

その言葉を耳にした時、なんとも言えない恐怖に襲われた。