愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「すみません…急に押しかけたくせに、連れて行ってもらって」

「別に気にすんなよ。
それに俺は川上さんに可能性を感じてんだ」

「可能性…」
「涼介を強くしてくれるっていう可能性」


店を出て、風雅さんとビルを後にする。
向かった先は近くの駐車場だった。

この前に病院まで迎えに来てくれた時と同じ車に乗り、アジトへと向かう。


今日は風雅さんの隣である助手席に腰を下ろした。



「涼介って色々すごいだろ」
「…そうですね」

静かな車内で、互いの声がよく通る。
どちらも落ち着いていた。


「でも涼介は強く在ろうとして、仲間にも決して弱さを見せない。ただ見ての通り、過去のせいから母親に怯えている」


自然と瀬野の話になっていた。
私なんかより風雅さんの方が瀬野といる時間が長い。

そんな彼は私の知らない瀬野を知っているだろうと思い、耳を傾ける。