「今日は涼介、いねぇんだな。
もしかして喧嘩でもしたのか?」
少し心配そうな表情。
完璧に誤解をさせてしまい、申し訳ない。
「あ、いや…喧嘩じゃないです」
「なんだ、喧嘩じゃないのか。
てっきり涼介が川上さんを怒らせたのかと…」
「それはいつもです」
「ははっ、確かにそうだな」
いつも私が瀬野に対して怒っているイメージがあるのだろうか、私の言葉に対して笑いながら認めてきた。
「じゃあ他に何の目的があってここに来たんだ?ひとりで来るってことはそれなりの理由があるんだろ」
「あ、えっと…翼くんと連絡を取りたくて」
「翼と?何でまた急に」
想像もしていなかったのだろう、少し驚いた様子。
そう、私の目的は翼くんとの接触だった。
「翼くんの能力が必要なんです」
「……何か知りたい情報でもあるのか?」
さすがは風雅さんだ。
察するのが早い。
翼くんはコンピューターの扱いが得意だと言っていた。
それに私の個人情報を調べ上げてきたのだ、今度はその能力を利用させてもらおうと。
「……瀬野の母親の居場所が知りたいんです」
素直に答えると、風雅さんの目が先ほどよりも開かれる。



