愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



「わかった。
じゃあ瀬野の家に行ってから店探そう」

「ありがとう。
俺の家の近くにいい店あったかなぁ」

「あったらそこ連れて行ってよ」
「待ってね、考えるから」


けれど瀬野の様子に変化はないため、深く考えないことにする。

ふたり並んで駅へと目指して歩く中、気づけば辺りは薄暗くなり日が沈んでいた。


「1日が終わるのってこんなに早いんだ…」


本当にあっという間だった。

充実した1日ではあるけれど、終わってしまうことに少し寂しさすら感じる。


「それは楽しかったってことでいい?」
「……うん、またあんたとなら行ってあげてもいいよ」


自分を偽らなくていいし、気楽に過ごすことができる。

ひとりの時間が一番いいと思っていたけれど、瀬野の隣も悪くない。