愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




店員さんからネックレスの入った紙袋を受け取り、店を後にする。


「学校でもつけていけたらな…」


残念ながらアクセサリーの装着は禁止であるため、学校にはつけていけない。

つい言葉にしている自分がいた。


「それだけ気に入ってくれたのか。
嬉しいなぁ」

「うん、アクセサリーとか基本持ってなかったから」


これで少しは女らしくなるだろうか。

瀬野はたくさんの女の人と関係を持っていたのだ、私なんかよりもずっと綺麗な女の人を見てきたことだろう。


その人たちに劣らないように、瀬野に見合うように。
頑張らないと…なんて、なにを考えているんだ私は。


「……川上さん?」
「っ、な、なに…」

「いや、どうして顔赤いのかなって」
「べ、別に…頑張ろうと思っただけ!」


熱くなる顔を隠そうと思い、手で仰ぐ。

けれどそれを優先してしまい、つい心で思ったことを口走ってしまった。


「えっ、何を頑張るの?」
「……そ、それは…言わない」

「そこまで言われたら気になるな」
「嫌だ、言わない。早く次行くよ」

絶対に言ってたまるか。
瀬野の嬉しそうな顔が頭に浮かぶ。

きっと口にすれば安心する言葉をかけてくれるだろうけれど、それ以上に恥ずかしいから嫌である。