「もうダメ、外出るまで喋るの禁止」
「えー、それは厳しいよ」
「喋ったらもう帰る」
「それは一大事だ、大人しくしないとね」
依然として余裕の瀬野はニコニコ笑っていたけれど。
とりあえず口を閉じてくれたから一安心である。
お土産を買った後、私たちは水族館を出た。
日帰り旅行と言うだけあって、水族館以外にもたくさんの場所に行った私たち。
瀬野との写真こそは撮れなかったけれど、綺麗な景色などは写真に収めた。
『一緒に撮ろう』と言うにはまだ勇気が足りないようだ。
デートも終盤に差し掛かったところで、アクセサリー店に連れてこられた私。
ネックレスを買うという言葉は、どうやら嘘ではなかったらしい。
「あっ、これ綺麗…」
見てまわる中で、ふと目についたネックレスがあった。
ハート型のシンプルなデザインだったけれど、逆にキラキラしたものには目がいかなかった。
「これ、私に似合うかな…」
「俺は好きだなぁ。
川上さん、落ち着いてるからきっと似合うね」
ボソッと呟くと、瀬野も好反応をくれる。
その一言でこれに決めてしまった私ってもう、単純だなって。



