愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「じゃあ今からデートの詳細を決めようか」
「詳細…」

「日時は絶対だね。
あとは水族館以外にどこ行くかも決めたいな」


瀬野は慣れた様子で私を後ろから抱きしめ、そのまま自分のスマホを私の前で開いた。


「いつ行こっか?」
「……来週の休日がいい」

「今週じゃなくて?」
「それは早い」


今週の休日だと、明後日ではないか。
そんなの早くて心の準備が追いつかない。


「早いかぁ…まあそうだね。
ちゃんと計画立てた方が充実できるだろうし」

「うん、だから来週」

「じゃあそれで決まりで。
楽しみだな、川上さんと初デート」


瀬野と初めての恋人らしいお出かけ。
少し、ほんの少しだけ楽しみな気がしないこともない。


「水族館なんていつぶりだろう。
全く思い出せないな」

「私も小学生ぶりかも」

「あっ、出てきたよ。公式のサイト。
ショーとかもあるらしいね」


瀬野のスマホをふたりして覗く。
ショーやフェアもやっているようで、楽しめそうだ。


「すごい…館内にもレストランがあるんだ」
「せっかくだからここで食べれたらいいね」

「でも休日だから親子連れも多…っ」


そのくすぐったさは突然やってきた。

瀬野の指が私の首筋から肩にかけて、一本の道を辿るようになぞってきたのだ。