「着てくれたら嬉しいな。だって当日だと本当に欲情して、家に出る時間が遅くなるかもしれないよ」
「そんなこと言って、どうせ大丈夫でしょ」
「それって裏を返せば欲情していいってことで…」
「あーもう!わかったから!着替えてきたらいいんでしょ。タグ付けたまま着てやる」
「タグなんて俺が切ってあげるから大丈夫だよ」
「…っ」
冗談で言ったつもりが、本気で捉えられてしまう。
こうなったら本当にタグを付けたまま着てやる。
だらしなければ欲情することもないだろうから、私にとってもプラスだ。
そう思い、服の入った袋を持って洗面所へと向かう。
やっぱり肩出しの服は恥ずかしいけれど、デートなのだからこれぐらいは我慢である。
少し張り切りすぎたと思われないだろうか。
でも沙彩が推してきたのだから、自分が選んだわけではない。
瀬野が言いそうな言葉に対して、言い訳を考えてから部屋に戻る。



