「そっか、川上さんが…」
「何よ、にやけないで気持ち悪い」

「ひどいなぁ。嬉しいに決まってるよ、川上さんが嫉妬してくれてるんだよ?」

「う、うるさいうるさい…!だったら早く莉乃ちゃんとの関係性を教えなさいよ!」

「……うん、そうだね」


瀬野から笑みが消える。

それを見て、また不安になってしまうのだからどうかしてる。


「莉乃は6人家族で、甘えたがりな性格をしてるけど実は長女なんだよ」


私の頭を撫でながら、再び瀬野の元へと抱き寄せられる。

突然始まる莉乃ちゃんの話に、やっぱりモヤモヤとしてしまう自分がいた。


けれどふたりの関係性を聞くためにと、ここは黙って耳を傾ける。


「4人姉弟、みんな母親は一緒だけど───」


一度、瀬野は言葉を溜めたかと思うと。
ゆっくりと口を開いた。


「莉乃だけ父親が違うんだ」
「……え」


予想だにしていなかった言葉に、ドクンと心臓が大きな音を立てる。

私自身、驚きを隠せない。



『ふたりが恋仲になるわけがない』


風雅さんがはっきりとそう言い切っていたことを思い出す。

何故だろう、さっきから動悸が止まらなくて───