莉乃ちゃんにも同じように触れてるんでしょう。
優しい手つきで撫でて、笑いかけて。

恋人じゃなくても、私と同じようなことも彼女にしているの?


心で思うことが、どうしても言葉にできない。


「いつもと様子が変だなって」


気づいているのなら。
わかっているのなら。

その理由をもっと深く考えられないのか。
早く気づいてよ、この不安に。


「別に、いつも通りだけど」


その不安を言葉にできないのは、素直になれないのは。

“私だけがこのような気持ちに”となるのが怖くて。
わざと強がってしまう。


「……そっか」

なんて、それ以上深く聞かない瀬野。

どうして。
所詮、私への興味はそれぐらいだったの?


けれど瀬野は私から視線を逸らさない。
変な沈黙がふたりの間を流れる。

どちらも口を開かないまま、気づけば瀬野が私と距離を詰めて───


「……んっ」

ひとつ、優しいキスを唇に落とされる。
ほんの一瞬、触れるだけの。


「……ほら、どうして抵抗しないの?」

いつもなら抵抗するけれど。
今日はそのキスを素直に受け入れてしまう。