愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




光希くんは響くんが起きたことに気づくなり、『ひーくんもゲームする!?』と誘っていたけれど、『しない』と即答していた。

その間も私は目を合わさないように気をつけていた。
あんな風になられては私も困る。


結局悠真くんもあまりゲームに参加することなく、それの終わりは突然やってきた。


「川上さん、そろそろ帰ろうか」

瀬野が奥の部屋を訪ねてきたのだ。
その口調、表情はいつも通りで、なんだか腹が立つ。

私の気持ちなんて何一つわかっていない。


「嫌だよ、愛佳ちゃんは僕たちとゲームしてるもん」

光希くんは私の代わりに断ってくれたけれど。
瀬野は困ったように笑い、また言葉を続ける。


「光希、川上さんは怪我してるんだ。
今日は早く帰って家で安静にしないと」

「安静しないといけないのに涼ちゃんは莉乃ちゃんを選んだんだね!」


鋭い指摘が私の胸に刺さる。
やっぱり痛い。


「何も莉乃を選んだわけじゃないよ」

「莉乃ちゃんを優先してたよ!?風雅くんがいなかったら、絶対に莉乃ちゃんとカフェに行ってたよね!?」

「どうしてそう決めつけるの?」
「涼ちゃんは莉乃ちゃん第一だからね!」


まるでふたりが恋人同士のようだ。
それにしても依然として冷静な瀬野。

なんだか今度は悲しくなってしまう。


もし瀬野は風雅さんの言葉がなければ、莉乃ちゃんのところに行っていたのだろうか。