「じゃあ翼くん、ゲームの準備して!」
「……本当にするの?」
「もちろん!愛佳ちゃんはゲームしたことある?」
「あんまりしないかな…」
「じゃあ翼くんに教えてもらおう!」
光希くんにいつもの調子で笑いかけられるのが逆に安心する。
私も笑みを浮かべて頷いた。
「うん、私も教えてほしいな」
「別にいいけど」
翼くんはチラッと私を見上げ、それからゲームの用意をしてくれる。
「あー、また負けたや」
「翼くんはやっぱり強いね、これでも手加減してくれてるはずなのに…どうやったら僕も翼くんみたいに上手くなるの?」
「……さあ、慣れだと思う」
どれぐらい経っただろうか。
小学校ぶりのテレビゲームに集中していると、結構時間が経っていたようで。
途中、響くんは目を覚ましたけれど、私はあえてゲームに夢中で気づいていないフリをした。
なんだか申し訳なかったからだ。
そんな響くんは部屋を出ることなく、悠真くんと会話を交わしていた様子で。



