愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「どーして風雅さんまで莉乃ちゃんに甘いの!?」

「まあまあ、歳下なんだし光希も優しくしてやれよ」

「絶対に嫌!」

光希くんは嫌いなオーラを全開にしているけれど、莉乃ちゃんはまったく気にしていない様子。

瀬野や風雅さんが優しくしてくれるから、満足しているのだろうか。



「風雅さん!涼介はね、雷霆を倒したんだよ!」
「ああ、本当に涼介はすげぇな」

「うん!涼介はすごいの!」


莉乃ちゃんはまるで自分のことのように話し、風雅さんがそれに同調する。

歳がそこそこ離れているためか、妹のようだ。


「あっ、そうだ涼介!今日はこの後予定ないの?
莉乃、行きたいカフェがあるんだ!」


明るい笑顔を浮かべたまま、瀬野を誘う莉乃ちゃん。

瀬野はその誘いを受け入れるのだろうか。
何故か自分が緊張してしまってバカみたいだ。


「莉乃、今日は俺と行くか。
その行きたいカフェ」

「えー…風雅さん、乙葉さんの惚気しか話さないもん」
「ふは、それは許せよ。な?」

「むー、涼介はダメなの?」

「昨日のことで疲れただろうし、今日はゆっくり休ませてやろう」


風雅さんは本当に瀬野を気遣っているのか。
それとも私に気を遣ってくれたのか。

わからないけれど、莉乃ちゃんに対してそのように話す。