愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「そっか、嬉しいなぁ。
ありがとう」

「べ、別にあんたのためじゃないって…」
「うん、知ってるよ」


嘘だ、絶対にわかっている。
どうしても、私の心を簡単に見透かされてしまう。


元々瀬野のために言ったのだけれど、いざ伝わったとなれば恥ずかしい。

その気持ちを隠すようにカレーを食べ進めた。



その後はいつも通り洗い物や洗濯物などの家事をこなし、それぞれがお風呂に入る。

今日は私に触れていいと許可を出してしまったため、不安もあったけれど瀬野は触れてこようとしない。


だから多分忘れたのだろうと思うことにした。
もしそうだとしたら好都合である。


「川上さん」
「……何?」

「もう寝る準備、終わった?」
「まあ、一応…もう寝るの?」


まだ時間は22時前である。
寝るのはまだ早すぎではないか。

それでも今日はいつもより疲れたため、寝れそうな気もするのだが。


「ううん、まだ寝ないよ。
川上さん、ここに座って」

「……っ」


けれど瀬野は寝ることを否定し、私を自分の前に座るよう促してきた。

さすがの私もすぐには理解できず、固まってしまう。