愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




幹部のみんなも瀬野のことを尊敬しているのだ、敵に回すようなことを言えるはずがない。

ここは大人しく黙っておく。


「おい、飯届いたぞ」


それからしばらく経ち、ずっと部屋から出ていた悠真くんが顔を見せたかと思うと。

ピザが届いたようで。


「やったー!ピザだよピザ!
愛佳ちゃん、早く行こう!」

「あ、うん…楽しみだな」


どうやらお昼はこの部屋で食べないようで、みんなが集まる大きな部屋の方へとやって来た。

けれどこの中に“裏切り者”が…と思えば、少し怖い。


それでも異変に気づかれないよう、ここは平静を装おうと心がける。


「愛佳ちゃん、このピザが一番美味しいんだよ!」
「光希さん、違います。おすすめはこれっすよ!」

「嫌だよそれ、サトシくんのことだから絶対にタバスコたくさんかけたでしょ。毎回騙してくるんだもん、もう僕騙されないよ!」


最初こそ警戒していたけれど、そこはまるでクラスの集まりのように、みんなとの距離が近くて驚いた。