「だったらさ、俺が川上さんといい感じのフリをして涼介に危機感を覚えさせたらいいんじゃねぇ?おっ、名案じゃん!」
「それはやめといた方がいいよ」
「うわっ、びっくりした…いきなり喋んなよ翼、心臓に悪いんだって!」
陽翔くんがそう言うのも無理はない。
いつの間にかテレビゲームをやめ、今流行のゲーム機を使ってゲームをしていた翼くんが突然口を開いたのだ。
本当に前触れもなく話し出すものだから、私も驚いてしまう。
「黙ってないと思うよ瀬野くん。その子に手を出そうものなら、相当な覚悟をしておいた方がいいよ」
「でもね翼くん、涼ちゃんは愛佳ちゃんをここに置いてまで…」
「瀬野くんはみんなを信頼してるから、ここにその子を置いたんだよ」
どちらかと言えば静かで小さな声。
けれど私たちの耳にしっかりと届いて。
「えーっ、何それ翼くん…いいこと言うじゃん」
「そっか、俺たち幹部は信頼されてんだな!」
先ほどまで良からぬことを言っていた陽翔くんまで、照れくさそうにしていた。



