愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




「確かにな、光希の言いたいことがわかる。
居心地いいから、いつもここに来たくなる」

陽翔くんもそれに同調し、何度も頷く。
そういえば瀬野が、ここは“逃げ場”とも言っていた。


「ここのみんなはね、偏見なんてしないんだ。どんな人間でも受け入れてくれる。

愛佳ちゃんもそうだよね、最初は僕たちを見て怖がっていたというか、ビックリしてたけど今は普通に接してくれるんだもん。さすがは涼ちゃんの本命だ!」


光希くんは笑って、私にギュッと抱きついてくる。
けれどさすがは男の人だ、中々の力である。


「みんな同じ人間なのにね。学校のみんなは僕が気持ち悪いって言って、実はいじめられてた。今は大丈夫なんだけどね。

あの頃、荒れてた僕を涼ちゃんは受け入れてくれたんだ。あの穏やかな笑みはズルイよね。ただ、むやみやたらに喧嘩するのはダメだよって言われちゃった」


瀬野との出会いを思い出してクスクス笑う光希くん。

その頃が忘れられないのだろう、今も嬉しそうに笑っていた。