「川上さんさぁ、この際俺に乗り換えねぇ？」
「何言ってんのはるぽんのタラシ」
「俺の方が絶対に幸せにしてやれると思うけどなぁ」
「本気にしなくていいよ愛佳ちゃん。
こんな男、期待させるだけさせて捨てたらいいよ！」
光希くんも中々すごいことを考えるものだ。
期待させて捨てるだなんて。
「…瀬野くんは、君が一番だよ」
「うわっ、ビックリした。いきなり喋んなよ翼」
隣で寝転がっている陽翔という男の言う通り、突然話し出したのは口数の少ない翼という男で。
「えっと…翼、くん…君っていうのはもしかして私のこと？」
悠真くんが“俺たちは瀬野とタメ”と言ったため、みんな同じように接しようと思った私。
苗字を知っていたら苗字呼びをしたかったけれど、今更聞ける状況でもない。
そのため名前に“くん”付けをして呼ぶことにした。
「そう、君のこと。
瀬野くんは君以外興味がないよ」
「ならどうして涼ちゃんは莉乃ちゃんと会ってるのさ！」
「それは……本人に、聞いた方がいい」
「やっぱり翼くんも知らないんだー！
もう絶対に僕は涼ちゃんを許さないからね！」
まるで私の代わりに光希くんが怒ってくれているかのようだ。
先ほどからずっと怒りを露わにしている。
