愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




私は光希くんに誘導され、ソファの上に腰を下ろした。

もちろん私の隣は光希くんである。


「狭いでしょ、ごめんね。
もっと広くしてくれても良かったのに…」

「ううん、大丈夫だよ。
ここに入れてくれてありがとう」


申し訳なさそうにする光希くんにあえて笑いかける。

確かに狭いけれど、文句を言ったところで空気が悪くなるだけだ。


「本当に涼ちゃんって酷いよね!この間は愛佳ちゃんをひとりにさせたくないって言ってたくせに、今は莉乃ちゃんと出かけるんだよ?

愛佳ちゃんを置いて行くなんてありえない!」


「あっ…私は大丈夫だよ。でも、瀬野くんと莉乃ちゃんってどういう関係なの?」


少し気になったから、さりげなく聞いてみる。


「んー、それがよくわからないんだよね。僕たちは莉乃ちゃんを嫌ってるのに、涼ちゃんが庇うからさ…雑に扱えないんだよね」

「光希、他に言い方があるだろ」
「悠真っちもうざそうにしてたじゃん!」

「まあ…あれを受け入れてるのは瀬野ぐらいだろうな」


メガネを持ち上げて、少し言いにくそうに口を開く。
その瞳は私を捉えていた。