愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜




そのまま瀬野の後ろをついて行き、寛ぎスペースのさらに奥にある扉の前で止まった。


なるほど。

ドアが壁の色と同化しているため、私は気づかなかったのだ。


本当に良く考えるなと思いつつ、瀬野がドアを開けるのを目で追った。

そして彼が中に入る───


その前に。


「あっ、涼介…!
やっと来た!」


真っ先に部屋から飛び出してきた莉乃ちゃんだった。

嬉しそうにして、すかさず瀬野に抱きついた。


「ごめんね、遅くなって」
「うん…本当は来ないんじゃないかって心配した」


あ、なんか嫌だなって。

何が嫌なのかは知りたくなくて、咄嗟に視線をそこから外す。


「涼ちゃん、愛佳ちゃん!
あけましておめでとうー!」

その時タイミングよく、部屋の中から光希くんの声が聞こえてきた。


「ほら、待ってたんだよ愛佳ちゃんを!
てことで涼ちゃんと莉乃ちゃんはさようなら!」

「わっ…」


光希くんはドアの前まで来たかと思うと、私の腕をすごい力で引っ張り、部屋のドアを乱暴に閉めた。

まるでふたりは入ってくるなとでも言うように。