「よし!暗い雰囲気にしちまったから明るい話しようぜ。ちなみに涼介とはどこまでいったんだ?」
「…っ!?」
あまりにも唐突な切り替え方だったけれど、“どこまでいったのか”という質問に対して真っ先に思い浮かべてしまったのは昨日の夜の出来事で。
ぶわっと顔が熱くなる。
「なるほど、もうそこまで…」
「ち、違います…!本当に違います!私は望んでもないのに瀬野が勝手に…かって、に…」
しまった。
つい全力否定するために、表の自分を偽るななさことを忘れてしまった。
これはやらかしである。
「ははっ、やっぱり川上さんには裏があったんだな」
「……え」
けれど風雅さんは驚くことなく、むしろ“やっぱり”と頷いている。
逆に私が驚きだ。
「俺、人の感情や性格を読み取るのが得意なんだよな。多分涼介もだろ?」
ふっ、と小さく笑う風雅さんは、瀬野のように悪そうな表情を浮かべたりはしない。
瀬野は私の裏を引き出すよう誘導して、それを弱みとしてきたのだ。



